はやく寝たい

書きかけでも公開します

はちどり

映画「はちどり」(キム・ボラ監督)を観ました。TOHOシネマズシャンテにて。とても感想にしづらい映画なのですが、何はともあれ文章を書いておくべきだと思い、書きます。はてなブログは書き直すこともできるしね。

90年代韓国の14歳中学二年生、少女ウニをただ写し取っていく映画で、光の美しさが印象的です。あらすじも、説明もほとんどありません。意味は観客に委ねられます。

韓国と日本は、社会構造がよく似ていると言われているだけあって、「わかる」と感じる描写が多くありました。特にウニの父・兄の大きな声や強い身振りには「家父長制」というワードが頭の中で浮遊します。家長の、家族からすらも「舐められまい」という意思がビシビシ伝わってきて、苦しいです。父や兄自身も苦しんでいます。日本と同じですね。

学歴社会による息苦しさもまた、言葉にされないまでも描写されます。少女たちは、自由に跳ね回るようでいて、それらから全く自由ではありません。

印象的だった描写。

・いろんな人が、特にウニの父が、ウニに手術の傷が残ることを心配しますね。嫌ですね。ウニが女の子だから、傷が残ってはいけないと思うんでしょうね。本当に嫌ですね。

・ウニが「手術で顔面麻痺が残っても、私のこと好きでいてくれる?」と尋ねた時、ウニの彼氏は「医者は脅すんだ、心配しすぎだよ」って言うんですよね。マジでなんなんだよこいつ、「もちろん好きだよ」って言えよ。この彼氏はマジで全体的に絶妙にろくでもないですね。彼ら自身が苦しんでいることは事実としても、全体的にろくな男が出てきませんね。

・ヨンジ先生の「殴られたら、立ち向かいなさい。黙っていては駄目」は、私には酷な台詞に思えた。10代の女の子に、兄や父に立ち向かう事を強いたくない…。でも、それは韓国社会の信念なのかもしれません。立ち向かうべき、黙っていては駄目。

・入院しているウニに優しい言葉をかけ続ける同室のおばちゃんたち。ほんのちょっとだけ無神経でもあるのですが。「勉強がんばってね」とか。私が10代の頃は言われたくなかった。ウニが「病院は家より落ち着く」とこぼしたのは本音でしょうね。好きな場面です。